設立にいたる背景
2011年の東日本大震災時、東京電力福島第一原発事故により放射性ヨウ素を含む放射性物質が大量に放出され、東日本一帯を広く汚染しました。
放射性ヨウ素が子どもの甲状腺がんの原因になることが1986年に起きたチェルノブイリ原発事故で明らかになっていたにもかかわらず、日本では政府、県が指示すべきだった予防のためのヨウ素剤服用がほとんどなされませんでした。
そのため福島県では県民の不安に応ずるため、2011年10月、事故当時18歳以下だった人を対象に甲状腺検査を開始しました。
子どもの甲状腺がんはきわめてまれながんで、年間100万人に2〜3人の発症と言われています。福島県では2016年にすでに100人以上が甲状腺がんの診断を受けています。これについて福島県も政府も「従来のがん統計と比較すると数十倍の多発であるが、放射線の影響とは考えにくい」としています。
活動の目的
甲状腺がん多発の原因が放射線の影響であるかどうかにかかわらず、多発という状況が生まれたのは明らかに原発事故があったからではないでしょうか。
事故後、甲状腺がんと診断された子どもや家族は、不安やとまどいを抱え、経済的、精神的な負担も生じていました。このような背景をもとに、私たちは一人ひとりの状況を知り甲状腺がんの診断を受けた本人やご家族へ支援をするため、2016年7月、3・11甲状腺がん子ども基金を設立し、2016年12月より療養費給付事業「手のひらサポート」を開始しました。2017年1月にNPO法人の認証を受けています。
代表ごあいさつ
東京電力福島第一原発事故はなぜ起きたのでしょうか?
国会に設置された東京電力福島第一原発事故調査委員会(国会事故調)は、東京電力の事故対策不備とそれを監督・指導すべきであった国がその任務を果たさなかったための人災であると結論しました。
しかし、いまだに誰も責任をとっていないのが現状です。
福島県は、甲状腺がんの多発は“放射線の影響とは考えにくい”としていますが、県立医大の執刀医は、その影響を検討するためには長期にわたる検査が必要と述べています。
多発の原因を知るためにも、県民の安心のためにも、幅広く息の長い検査を進めるのが政府や県の責任ではないかと思います。
子どものがんは当人のみならずご家族にも大人とは違う特有の悩みや困難をもたらします。
当基金はその厳しい状況を理解し、様々な形で支援を行っております。
このような活動が継続できますのは、皆様からの温かいご支援のたまものです。
深く感謝いたしますとともに、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
代表理事 崎山比早子
(元国会事故調査委員会委員、医学博士)